「千と千尋」台湾九份モデル説の嘘!宮崎駿監督の公式否定と真相の要点を詳しく解説してご紹介します。
では、油屋や不思議な街の真の着想源はどこにあるのでしょうか。スタジオジブリが公式書籍や展示会で明言しているのは、日本国内に現存する歴史的建造物群のハイブリッド構造です。
油屋の外観および内部意匠に強いインスピレーションを与えた筆頭として挙げられるのが、東京都小金井市にある「江戸東京建物園」です。宮崎監督は制作当時、足繁く同園へ通い詰めてスケッチを重ねており、園内に移築・保存されている下町の銭湯「子宝湯」の格天井や宮造りの破風、文具店「武居三省堂」の壁一面に並ぶ無数の引き出し(釜爺のボイラー室の薬棚の原型)などは、作中の意匠と完全に一致しています。
さらに、温泉宿としての重厚な佇まいには愛媛県松山市の「道後温泉本館」(国指定重要文化財)の木造三層楼の複雑な増改築構造が参考にされ、絢爛豪華な内部装飾や宴会場の壁画には東京都目黒区の「目黒雅叙園(現・ホテル雅叙園東京)」の百段階段に見られる昭和初期の装飾美が反映されています。また、群馬県の「四万温泉 積善館」に見られる本館前の赤い橋など、日本各地の湯治場文化が複合的に溶け合ってあの唯一無二の世界が構築されました。
スポット名・所在地作中への影響・該当箇所公式認定・言及の有無編集部の見解・評価台湾・九份(阿妹茶楼周辺)
(台湾新北市)急勾配の階段、無数の赤提灯、木造多層楼の夜景景観【完全否定】
監督本人が未訪問・非モデルと証言作品のモデルではないが、東アジア特有の幻想的なノスタルジーを体感できる観光地価値は極めて高い。江戸東京建物園(子宝湯・武居三省堂)
(東京都小金井市)油屋の唐破風屋根、番台、釜爺の部屋の壁一面の木製薬棚【公式公認】
制作時に監督が頻繁に取材・スケッチ細部のデザインソースとして最も直接的。作中の生活感や下町情緒の骨格を成す最重要スポット。道後温泉本館
(愛媛県松山市)油屋の立体的な木造三層構造、複雑に入り組んだ屋根と塔屋【公式公認】
制作資料にて油屋の主要な参考建築と明記神々が湯治に訪れる「巨大な湯屋」の風格と威厳を決定づけた、日本を代表する建築学的モデル。四万温泉 積善館
(群馬県中之条町)本館前に架かる赤い慶雲橋(千尋とハクが息を止めて渡る橋)【着想源の一つ】
監督自身が宿泊滞在歴を公言現存する日本最古の木造湯宿建築。現世と異界を隔てる「橋」の空間構造に多大な影響を与えた。