薬害エイズ問題で厚生大臣として官僚の闇を暴き、国民的ヒーローとなった菅直人。彼の政治的アイデンティティは一貫して「市民運動」と「反権力」にあった。首相就任後も、財務省や経済産業省といった強力な官僚機構との対決姿勢を崩さなかった。これは、長年続いた自民党の官僚依存政治に対する強烈なアンチテーゼであった。
しかし、その「闘争心」は政権運営においては仇となった。官僚を敵視し、彼らの専門知識や組織力を有効に活用できなかったことは、民主党政権の機能不全を招く大きな要因となった。政治主導という理想が、単なる「官僚排除」に陥ってしまった限界を、彼の政権運営は露呈したと言える。