高速増殖炉(FBR)がかつて「夢の原子炉」と称賛された理由は、発電しながら消費した以上の核燃料を生み出せるという画期的な理論にありました。一般的な軽水炉ではウラン235を燃料としますが、天然ウランの99%以上を占めるウラン238はそのままでは核分裂を起こしにくい性質を持っています。
高速増殖炉の仕組みは、高速の中性子をウラン238に衝突させることで、核分裂性のプルトニウム239へと変換(増殖)させます。これにより、資源の乏しい日本において、ウラン資源の利用効率を理論上数十倍から約60倍にまで高められると期待されていました。
冷却材には、中性子を減速させにくい液体ナトリウムが採用されました。水よりも熱伝導率が高く沸点が高いというメリットがある反面、空気や水に触れると激しく化学反応を起こして発火・爆発するという極めてデリケートな物質です。この冷却材の取り扱いの難しさが、のちに福井県敦賀市に建設されたもんじゅの命運を大きく狂わせることになります。