どんなに優れたレシピがあっても、質の良い自然薯がなければ「とろろ汁」は成立しない。しかし、自然薯の栽培は手間がかかり、後継者不足や気候変動の影響を直球で受けやすい課題を抱えている。
そこで動いたのが14代当主だ。静岡県内の生産者と直接提携し、土づくりからこだわった自然薯の契約栽培を確立。2026年現在、この取り組みは地元の若手農家の育成や耕作放棄地の再生にも一役買っている。「良い食材を作る農家が存続してこそ、私たちの料理も存続できる」。その信念に基づいた地産地消のネットワークは、飲食業と一次産業の理想的なパートナーシップとして、全国から高い評価を得ている。