館内に足を踏み入れた瞬間、誰もが思わず息をのむのが、すり鉢状に広がる大空間「ブックホール」です。重厚な3層の円弧を描く閲覧デッキと、空間を立体的に横断するブリッジ。本棚が幾重にも重なり合って天に向かって立ち上がる様子は、まさに知の「円形劇場(コロシアム)」そのものです。
この独創的な空間を手がけたのは、日本を代表する建築家・仙田満氏(環境デザイン研究所)。仙田氏が提唱し続けてきた「遊環構造(子どもが自然と回遊し、多様な体験に出合える空間設計論)」が、この巨大な知の拠点に見事に結実しています。中央の吹き抜けに身を置くと、どこにどんなテーマの本があるのかが直感的に視界に飛び込み、目的の本を探すだけでなく「偶然の1冊に出合う」ための視覚的な仕掛けが随所に張り巡らされていることがわかります。
内装には加賀友禅の基調色である「加賀五彩(藍、臙脂、黄土、草、古代紫)」がフロアや什器ごとに巧みに配色され、金沢の伝統工芸である金箔や能登ヒバなどの県産木材が温もりを添えています。建築デザインの評判を調査すると、「歩き回るだけで知的好奇心が刺激される」「本に包まれる安心感がある」といった絶賛の声が多数を占めています。単なる写真映えスポットにとどまらず、空間工学と地域文化が見事に融合した建築空間として、国内外の建築賞を総なめにした理由が肌感覚で理解できます。