フィギュアスケートを一流水準で継続するには、想像を絶する資金が必要となる。リンクの貸切代、国内外への遠征費、一流コーチへの指導料、そして1着数十万円もする衣装代。姉の舞と真央の二人分となれば、その額は年間で数千万円に達したとされる。並大抵のサラリーマン家庭では、数年で破産しかねない金額だ。
敏治氏が夜の街で稼ぎ出した資金は、すべて姉妹のスケート靴へと姿を変えた。彼は自らの仕事を恥じることなく、ただ娘たちの才能を開花させるためだけに働き続けた。深夜まで店を切り盛りし、早朝には娘たちをリンクへ送り届ける。そんな過酷な二重生活を、彼は何年も続けたのだ。夜の仕事に対する世間の偏見を一身に浴びながらも、父親としての責任を果たそうとした彼の姿勢は、果たして非難されるべきものだったのだろうか。