指揮官としての卓越した指導力を支えているのは、トム・ホーバス監督の異色の経歴です。アメリカ・ペンシルベニア州出身のホーバス氏は、ペンシルベニア州立大学を卒業後、NBAアトランタ・ホークスでのプレー経験を経て、1990年に日本リーグのトヨタ自動車(現アルバルク東京)へ加入しました。4年連続で得点王に輝くなど、日本バスケ界屈指のスコアラーとして名を馳せました。
注目すべきは現役引退後のキャリアです。ホーバス氏は一度バスケ界を離れ、大手通信機器関連会社などで一般のビジネスマンとして約10年間勤務しました。日本企業の組織文化、意思決定プロセス、日本人特有のメンタリティをビジネスの最前線で肌身に染みて学んだ経験が、現在のマネジメントに直結しています。
多くのファンが驚く「なぜ日本語を流暢に話せるのか」という疑問の答えもここにあります。現役選手時代とビジネスマン時代の通算20年以上にわたる日本での生活を通じて言葉を完全に習得しました。記者会見やタイムアウトで一切通訳を介さず、自身の言葉で直接選手に語りかけるスタイルは、発言の熱量やニュアンスのズレをなくし、強固な信頼関係を築く最大の要因となっています。