かつてサブカルチャーの枠内に収まっていた都市伝説・オカルトは、いまやマスメディアや商業市場を牽引する一大コンテンツジャンルへと変貌を遂げた。その最大の成功例が、まさに『私が見た未来 完全版』の記録的なヒットである。
長年不況に苦しんできた出版業界にとって、このブームは強力なカンフル剤となった。初版発行部数の異例の引き上げ、重版出来の連続、さらには関連書籍の増刷ラッシュなど、出版市場に空前の特需をもたらした。同時にエンターテインメント業界もこの熱狂を逃さず、映画、ラジオ番組、有料配信コンテンツなど多角的なメディアミックスを展開した。
なぜ人々はこれほどまでに魅了されるのか。そこには、社会の不透明感や将来への不安を「物語」として消費したいという、現代人特有の集団心理が働いている。エンターテインメントとしての刺激と、現実の不安解消への欲求が見事に合致した結果と言えるだろう。