このホテルの骨格を成しているのは、創業寛政三年(1791年)の歴史を誇る老舗酒蔵、キンシ正宗株式会社の旧販売拠点として使われていた価値ある建築物だ。単に古い建物を解体して建て替えるのではなく、積み重ねられた時間をリスペクトする京町家リノベーションの手法が見事に結実している。
敷地内に足を入れると、かつて酒造りや商いの現場として活気に満ちていた時代の気配が、太い梁や風情ある格子窓から伝わってくる。職人たちが受け継いできた日本の伝統美と構造美を活かしながら、現代の快適性を兼ね備えた空間へと生まれ変わらせるアプローチは、文化財保護と観光の理想的な共存モデルを示している。