日本におけるモネ人気は、世界的に見てもきわめて特殊で熱烈だ。実はモネ自身、膨大な浮世絵コレクションを所持するほどの熱狂的なジャポニスムの信奉者であり、ジヴェルニーの庭園の太鼓橋も浮世絵の風景から着想を得ている。
日本人がモネの作品に抱く深い共感の根底には、無常観や四季折々の自然の移ろいを愛でる日本固有の美意識がある。水面に映る雲の移ろい、風にそよぐ睡蓮の葉。具体的な形を描くのではなく、気配や叙情性を描くモネの描写力は、私たちの感性と深く共鳴する。国立西洋美術館や箱根のポーラ美術館、そして自然光のみで鑑賞する地中美術館の展示は、いまや世界中のアート愛好家が「一度は訪れるべき聖地」と称されている。