庭園の設計思想は圧倒的だ。敷地全体をひとつの地理的ドラマに見立てる手法は、訪れる者を無意識のうちに旅へと誘う。山頂に見立てた築山から滔々と湧き出る水は、渓流を下り、大海原へと流れ込む。
「築山」は御嶽山を模し、そこから流れ出る「渓流」は木曽川、そして広大な「池」は伊勢湾を表している。一歩足を進めるたびにめまぐるしく変化する視界のダイナミズム。橋を渡る、水面に反射する木々を眺める、かすかに聞こえる水音に耳を澄ます。それぞれの動作が、計算し尽くされた演出の一部となっている。伝統的な「池泉回遊式」の意匠が、現代の多忙な都市生活者に失われた感覚を鮮やかに呼び覚ます。