二つの感染経路を分ける最大の要素は、病原体を含む粒子の「サイズ」と「滞留時間」だ。最新の感染症学の知見によれば、咳やくしゃみによって排出される水分を含んだ飛沫(直径5微メートル以上)は、放散後わずか数秒で1〜2メートルの範囲内に落下する。つまり、物理的な距離を取ることが最も直接的な防御策となる。
一方で、飛沫の水分が蒸発して生じる「飛沫核」や、微小なエアロゾル(直径5微メートル未満)が引き起こすのが空気感染だ。これは重力に逆らい、空気の流れに乗って数十メートル先まで漂い続ける。国内の感染症予防ガイドラインプロジェクトが公表した検証データでも、密閉空間におけるエアロゾルの浮遊時間は数時間に及ぶことが確認されている。空間のどこにいても吸い込む危険性がある点が、飛沫感染との決定的な差異である。