宴が深まると、なぜ特定のマウント行為が始まるのか。その引き金を引いているのは、アルコールによる理性麻痺だけではない。入社して間もない新入社員を前に熱弁を振るう上司の胸中には、複雑な承認欲求と不安が入り混じっている。
取材に応じた心理カウンセラーは、「普段の業務で自分の権威や存在感を十分に示せていないと感じている人物ほど、酒の力を借りて優位性を誇示しようとする」と分析する。シラフでは言えない本音や指導を、アルコールによる全能感に乗せて放出しているのだ。
また、コミュニケーション心理学の観点からも、飲み会という無礼講の空間は「自己肯定感を手軽に手に入れる格好の場」になりやすいことが分かっている。かつてのドラマ『半沢直樹』に登場するような熱い組織人像に憧れを抱き、「厳しく指導する頼もしい自分」を酒席で演出している側面も否定できない。