タイトルの『レム』は、言わずもがな脳が覚醒に近い状態にある浅い眠り「レム睡眠(REM sleep)」に由来する。夢と現実の境界が曖昧になり、抑圧された潜在意識が首をもたげる時間帯だ。歌詞に刻まれた「嫌いな奴の顔」や「歪んだ鏡」といったフレーズは、他者への忌避感と同時に、逃れられない自己への悪意を突きつける。
ここで描かれるのは、美化された綺麗な孤独ではない。泥泥とした自己愛の解体と、自己嫌悪の螺旋である。心理学的な視点から見れば、自己の影(シャドウ)と真っ向から対峙する苦痛のプロセスそのものだ。覚醒と睡眠の狭間で揺れる精神状態を、米津は冷徹なまでの客観性をもって歌詞へと昇華させている。