首都圏発着の鉄道旅がこれほどまでに大人の心を捉えている背景には、単なるレジャーブームにとどまらない、現代人の旅行マインドの変化があります。観光行動学の視点から見ると、従来の「目的地にいかに早く着くか」というタイムパフォーマンス重視の移動から、「移動時間そのものを上質な体験価値に変える」というクオリティ・オブ・タイムへの転換が顕著です。
多忙な日常を送る都市生活者にとって、車窓を流れる四季折々の絶景を眺めながら、地域のクラフトビールや本格スイーツを味わう時間は、格好のデジタルデトックスとなります。プライベート性が確保された個室やカフェカウンターなど、従来の鉄道の枠組みを超えたホスピタリティが「自分へのご褒美」や「大切な人との特別な記念日」に選ばれる決定的な要因となっています。