「ご自愛(ごじあい)」とは、漢字が示す通り「自らを愛する」、すなわち「自分自身の体を大切にして健康に留意する」ことを意味する言葉です。手紙やメールの末尾で相手の健康を祈る結びの挨拶として古くから重用されてきました。
ここで多くの人が無意識に使ってしまうのが「お体をご自愛ください」という表現です。一見すると丁寧で心のこもった言い回しに思えますが、国語辞典や用字用語の手引きに照らし合わせると、「自愛」自体に「体を大事にする」という意味が含まれているため、「お体」を重ねると「自分の体を自分の体で大切にしてください」という二重表現(重言)になってしまいます。
文化庁が定期的に実施する「国語に関する世論調査」等でも言葉の重複表現に対する意識が取り上げられますが、「頭痛が痛い」「後で後悔する」と同様に、教養ある取引先や年配の役員層からは「言葉の知識が不足している」と受け取られかねません。ビジネス文書においては、余計な語を省き「どうぞご自愛ください」あるいは「くれぐれもご自愛ください」と端潔にまとめるのが美しい日本語の基本です。