無罪判決の決定打となった検証の中で、最も深刻な問題として浮き彫りになったのが密室で行われた自白強要の実態です。逮捕直後から否認を続けた朴氏に対し、捜査員は連日連夜、激しい怒号と暴力を伴う取り調べを行いました。
朴氏の証言によると、取調室では机を蹴り飛ばされる、パイプ椅子から突き落とされる、頭を小突かれるといった直接的な暴力が日常茶飯事でした。さらに「お前がやったと認めなければ青木を死刑にする」「自白すれば罪が軽くなる」といった脅迫と利益誘導が繰り返され、睡眠不足と精神的疲労によって極限状態へと追い込まれました。
精神を破壊された朴氏は、最終的に警察が用意した虚偽のストーリーを認める供述書に署名させられました。一度作成された「自白調書」は裁判において極めて強い証拠力を持ち、2006年に最高裁判所で無期懲役の確定判決が下されるという悲劇を生む元凶となりました。