彼女の絶頂期に冷や水を浴びせたのが、講談社発行の『週刊現代』による一大追及キャンペーンだった。筆を執ったのは、裏社会取材の第一人者として知られるジャーナリストの溝口敦。連載は後に『細木数子 魔女の履歴書』という単行本に結実し、人物ノンフィクションの金字塔として読書界を揺るがすことになる。
誌面に刻まれたのは、華やかなテレビ画面からは想像もつかない過去だった。暴力団幹部との深甚な関わり、巨額の金銭トラブル、そして島倉千代子をはじめとするスターたちの借金肩代わり劇の裏側。溝口による徹底した取材と実名証言の数々は、彼女が長年築いてきた「清廉潔白な指導者」という虚飾を無慈悲に剥ぎ取っていった。出版差し止めを巡る法廷闘争へと発展したこの騒動は、メディア界に巨大な地殻変動をもたらす契機となった。