平成の代替わりに伴い、上皇明仁(当時は天皇陛下)と上皇后美智子さまが新たな住まいとして改修を加えられた際も、建物の基本骨格と自然環境への配慮は一貫して保たれた。バリアフリー化や最新の情報通信設備の導入など、時代に応じたアップデートが施されつつも、昭和の記憶を留める空間は大切に引き継がれた。そして令和の御代となり、今上天皇ご一家が赤坂から皇居へと居を移される過程においても、御所は皇室の歴史の連続性を象徴する場であり続けている。
天皇が「公人」としての重責を果たす一方、一人の人間として、また家族として安らぐための空間がどれほど重要か。代替わりごとに実施される居住空間の調整は、皇室のプライベートな時間と公務のバランスを最適化するための試行錯誤の歴史そのものである。