日本の夏を支えてきた素麺の歴史は長い。中でも播州が誇る「揖保乃糸」をはじめとする伝統的な手延べ麺は、その極細の麺線と心地よいコシで長年人々に愛され続けてきた。しかし近年、伝統的な食べ方に一石を投じる形で、具材やつゆをダイレクトにかけるぶっかけスタイルが広く定着している。
背景にあるのは、忙しい日常の中でも「一皿で満足感を得たい」というタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する意識の変化だ。かつてはざるに盛り付けた麺を薄めためんつゆにくぐらせるのが王道だったが、現在では濃厚なつゆや油分、薬味、海鮮や肉類を豪快に乗せるスタイルが主流になりつつある。