そもそもバセドウ病とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患である。新陳代謝が異常に活発になり、じっとしていても走っているかのような動悸、異常な発汗、手の震え、そして体重減少や眼球突出といった症状が表れる。一般人であっても日常生活に支障をきたすこの病が、極限の体力を要求されるプロアスリートに与える影響は計り知れない。
心拍数が跳ね上がり、スタミナは著しく低下する。そんな状態で、90分間走り続け、さらに決定的な仕事を求められるのだから、常人なら引退を選択してもおかしくない状況だ。本田がこの病を抱えながら世界のトップレベルで戦い続けたことは、医学的な常識をも覆すような出来事だったと言える。