抜歯後の経過観察において、最も避けるべきは「自己判断による患部の弄(いじ)り回し」と「受診の遅れ」です。患者が陥りがちな心理として、穴の中に食べかすが見えると清潔に保ちたいという強迫観念から、爪楊枝や歯間ブラシで穿折(せんせつ)して組織を破壊してしまうケースが多発しています。適切な対応を取るための判断基準を明確に線引きします。
経過観察で問題ないケース(焦る必要のない状態)
- 抜歯窩に白い膜やブヨブヨした組織が付着しているが、激痛はなく鈍痛が日ごとに和らいでいる
- 穴の奥に米粒などの食べかすが挟まっているが、悪臭や拍動性の痛みはない(自然に排出されるか組織に押し出されます)
- 術後2〜3日目を境に、顔の腫れや内出血の黄色いあざが少しずつ退いている
- 唾液に少量のピンク色の血が混ざる程度で、ティッシュを噛めば止まる
直ちに歯科・口腔外科を受診すべき緊急ケース
- 抜歯から3〜5日経過しているにもかかわらず、痛みが右肩上がりに激化している
- 夜間に痛みで目が覚める、処方されたロキソニンやアセトアミノフェンが2〜3時間で切れて耐えられない
- 穴の中が真っ白な骨の露出状態になっており、腐敗臭や苦い味が口内に広がる
- 喉の腫れ、発熱、唾液を飲み込む際激しい痛みを伴い口が開かなくなってきた
- 鮮血がドバドバと溢れ出し、ガーゼを強く30分以上噛んでも血が止まらない
自己判断で市販薬を増量して耐え忍ぶ行為は、ドライソケットの重篤化や治癒期間の大幅な延長を招きます。異常を感じた際は遠慮せず、処置を受けた医療機関に連絡し、創部洗浄と消炎鎮痛処置を受けることが最短の回復への近道です。