シリーズ完結編となった『ちはやふる -結び-』において、野村周平が見せた演技の円熟味は映画ファンを唸らせた。自らの限界と向き合い、一度はかるた部を離れる選択をした太一の背中。そこには、少年から青年へと脱皮する過程の苦悩が痛烈に刻まれていた。
多くの実写映画が原作のダイジェストに陥りがちななか、本作が名作として高く評価され続ける最大の理由は、キャラクター一人ひとりの感情の機微を丁寧に掬い取った点にある。東宝が誇る青春映画の最高峰として、野村周平が紡ぎ出した太一のラストシーンは、今見返しても観る者の涙腺を刺激してやまない。