力士が身につける化粧まわしは、基本的に力士本人が自費で購入することはありません。十両昇進や幕内昇進、三役昇進といった節目に、後援会(タニマチ)や出身校の同窓会、あるいはスポンサー企業から「お祝いの品」として贈呈されるのが古くからの慣例です。
「タニマチ」の語源は、明治時代に大阪市南区谷町にあった心ある医師が、相撲取りから治療費を取らずに手厚く支援したことに由来します。見返りを求めず、力士の出世と活躍だけを願って巨額の資金を投じるパトロン文化は、相撲界を支える唯一無二の基盤となってきました。
後援会組織が中心となって化粧まわしを贈呈する場合、会員有志から寄付金を募り、力士の四股名や出身地の名勝、勇猛な虎や龍などの伝統文様をあしらった1本を仕立てます。一方で、民間企業が公式スポンサーとして贈呈するケースでは、自社のブランドロゴや企業メッセージを伝統的な和の構図に巧みに落とし込んだ特注品が制作されます。