親しみやすい接客とコストパフォーマンスで親しまれたカウボーイ家族が、なぜ全店舗閉店という厳しい決断に至ったのか。その背景には、外食業界を取り巻く構造変化と、ロイヤルホールディングスが断行した抜本的な経営資源の集中戦略があります。
最大の要因は、看板コンテンツであったサラダバー食べ放題のビジネスモデルが直面した危機です。カウボーイ家族の最大の魅力は、新鮮な野菜だけでなく、特製カレー、パスタ、スープ、デザート、ソフトクリームまでが自由に楽しめるフルビュッフェスタイルでした。しかし、感染症拡大の影響で「不特定多数がトングを共有するビュッフェ形式」は敬遠され、一時期は個別提供への変更を余儀なくされるなど、本来の魅力とオペレーション効率が大きく損なわれました。
さらに、輸入牛肉の価格高騰(ミートショック)やエネルギーコスト、人件費の上昇が追い打ちをかけました。低価格〜中価格帯で高品質なステーキと食べ放題を提供するモデルは、高い客回転率と大量仕入れによるスケールメリットが不可欠です。客足が鈍る中で原価率が跳ね上がり、収益構造が急激に悪化しました。
ロイヤルホールディングスは当時、グループ全体で不採算店約70店舗の閉鎖を発表。その中で、高付加価値戦略で客単価アップに成功していた主力ブランド「ロイヤルホスト」や、専門店として強みを持つ「天丼てんや」へ経営資源を集中させる方針を打ち出しました。このポートフォリオ再編に伴い、採算の改善が見込めなくなったカウボーイ家族からの完全撤退という苦渋の決断が下されたのです。