博覧会終了後、建物は神戸港の歴史や海事資料を展示する展示館として市民に開放され、1階には海を眺めながら優雅なティータイムを過ごせる喫茶スペースが整備されました。1990年代から2000年代初頭にかけては、対岸のハーバーランドや神戸大橋を一望できる隠れたデートスポットとして多くのファンに愛されていました。
しかし、2000年代中盤から暗雲が立ち込めます。神戸市港湾振興部などの公的記録によると、観光動線の中心である三宮・元町エリアから離れた立地ゆえに来館者数が伸び悩み、年間維持費が市の財政に大きな負担を与え始めました。さらに、老朽化に伴う修繕費用の増大が重なり、2008年3月末をもって一般公開および飲食営業は完全に終了。事実上の「閉館」へと追い込まれたのです。
一時は建物の存続自体が危ぶまれ、解体論さえ囁かれる中、救済の手を差し伸べたのが神戸に本社を置くグローバル医療機器メーカーのシスメックス株式会社でした。2012年、同社は神戸市との間で建物の維持・保全を条件とした借受契約を締結。企業の福利厚生や海外VIPをもてなす「国際ゲストハウス」として再スタートを切ることで、貴重な歴史的建造物の滅失という最悪のシナリオを回避しました。