この事件が社会に突きつけたもう一つの重大な問題が、警察の初動対応における不備でした。冨田さんは事件発生前、男からの執拗なSNSへの書き込みや自宅特定を匂わせる嫌がらせに身の危険を感じ、警視庁武蔵野警察署へ複数回にわたり直接相談していました。
しかし、警察側は事態の急迫性を正しく認識せず、ストーカー事案としての危険度評価を誤り、ライブ当日の会場周辺の警戒も怠っていました。事件後、警視庁は最終的に対応の不手際を認めて謝罪しましたが、取り返しのつかない事態を招いた組織の過失は重く受け止められました。
冨田真由さんと母親は、命を守る義務を怠ったとして東京都(警視庁)や犯人に対し約7600万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こしました。この法廷闘争は、単なる金銭的補償の要求にとどまらず、ストーカー被害を訴える相談者の声に警察が真摯に向き合う仕組み作りを促す大きな契機となりました。