焦げ落としの裏ワザとして「お酢」や「クエン酸」が紹介されることも多く、「結局、酢と重曹のどっちを使えばいいのか」と迷う読者も少なくありません。結論から言えば、「汚れの性質」によって使い分けるのが化学的な正解です。
一般的な料理の焦げ付き(肉、魚、油、醤油、みりん、ご飯の炭化など)はすべて酸性の汚れです。したがって、これらを落とす際にはアルカリ性である重曹を選択するのが基本です。
一方で、酢やクエン酸などの「酸性クリーナー」が威力を発揮するのは、アルカリ性の汚れに対してです。例えば、アルミ鍋が重曹などで黒ずんでしまった際のリカバリー(酸で表面を還元する)、あるいは鍋底に白くこびりついた水道水のミネラル分(カルキ・水垢)、魚の生臭い臭い消しなどには酢やクエン酸が適しています。
なお、SNS等でよく見かける「重曹とお酢を同時に混ぜて発泡させる裏ワザ」には注意が必要です。混ぜた瞬間に勢いよく泡立ちますが、これは中和反応によって水と二酸化炭素が発生しているだけであり、互いの洗浄能力を打ち消し合ってしまいます。アルカリと酸の力は、汚れの性質に合わせて単独で使い分けるのが最も効率的です。