アキコが開いた、シンプルでありながら端正な美しさが漂う小さな店。木目の家具、白を基調とした清潔なカウンター、そして丁寧に仕込まれるスープとサンドイッチ。あの魅力的な空間のモデルや撮影拠点となった場所は、多くの視聴者が最も気にするポイントだろう。
実際のロケ地撮影では、都内の落ち着いた店舗やスタジオセット、既存のカフェ空間が組み合わせて使用された。なかでも、ドラマの雰囲気を決定づけているのが、過剰な装飾を削ぎ落としたインテリアのこだわりだ。小林聡美演じるアキコが整然と包丁を握るキッチンや、大きな窓から注ぐ木漏れ日は、実在する複数のカフェやライフスタイルショップの美学と深くリンクしている。
店内で提供される料理の佇まいも忘れがたい。パンとスープという、一見するとシンプルなメニュー。しかし、だからこそ食材の滋味と作る人の手が伝わってくる。ロケ地の店舗周辺を歩くと、ドラマのなかで描かれた「自分の手で暮らしを整えることの尊さ」が、肌感覚として蘇ってくるから不思議だ。