ウォーターフロントの再開発事業により、月島エリアの景観はこの10年で激変した。古い木造家屋が最新のタワーマンションへと姿を変え、新たな住民が続々と流入している。だが、新旧の住民を隔てる目に見えない壁を打ち破ったのは、皮肉にも行政の施策ではなく一匹のカメだった。
マンションのベランダから手を振る親子連れ、散歩ルートで待ち構える古株の店主。共通の話題が存在しづらい現代の都市生活において、街を歩く巨大なカメは言葉を超えたコミュニケーションの口火を切る。新住民にとっても、この散歩風景は「月島に住み始めた」と実感できる象徴的な瞬間なのだ。