『虹』が発表された1997年秋、L'Arc-en-Cielを取り巻く環境は決して穏やかではなかった。ドラマーの脱退に伴う活動休止期間を経て、グループは存続そのものを問われる過酷な試練の真っ只中にいたのだ。そうした極限状態の中でhydeが生み出した詩の世界は、深い絶望の淵から這い上がろうとする人間の原始的なエネルギーに満ち溢れている。
「時は奏でて想いはあふれる」という静かな歌い出しから始まる物語は、降り続く雨と泥にまみれた過去を受け入れつつも、未来への光を求めて抗う魂の軌跡を描き出す。ここで描かれる「雨」はバンドを襲った苦難のメタファーであり、タイトルでもある「虹」は、痛みを乗り越えた先にしか現れない希望の架け橋に他ならない。絶望を力づくで肯定に変えるhydeの言葉選びは、当時の彼らが背負っていた覚悟の重さを如実に物語っている。