雇用の安定化を目指して改正労働契約法に盛り込まれた「無期転換ルール」だが、大学人事の現場では皮肉な逆転現象を引き起こした。研究者や大学教員に適用される10年特例の期限を迎えるにあたり、大学側が無期雇用化のコスト負担を回避しようと、雇い止めを選択する事例が相次いだためだ。
元京都大学総長であり日本学術会議の会長も務めた山極寿一氏は、こうした研究環境の劣化に対し、研究者の身分保障と長期的な研究資金の確保が日本の科学技術力の根幹であると繰り返し警鐘を鳴らしてきた。しかし、短期成果を求める制度設計が根強く残る中、10年目の雇い止めリスクは今なお多くの研究者の頭上に重くのしかかっている。