物語の序盤から一貫して描かれてきたゴンの無垢さは、本質的に倫理観の危うさと裏表であった。恩師であり道標であったカイトの死という現実に直面した瞬間、彼の抱いていた希望は完膚なきまでに打ち砕かれる。直前までカイトの蘇生を信じ切っていたからこそ、それが不可能だと悟ったときの落差は底知れない絶望へと転じた。
「自分を救えなかった」という強い罪悪感と、狂気的なまでの復讐心が合流した結果、彼の思考は自己犠牲へと急速に傾斜していく。そこにはヒーロー的な正義感ではなく、自己の全存在を賭してでも眼前の敵を討つという純粋ゆえの恐ろしい執着が存在していた。