検索エンジンやSNSのトレンドで定期的に関心を集める「ポチ袋の漢字」ですが、正解は「点袋」と書きます。「点」を「ポチ」と読ませる特殊な当て字のように思えますが、ここには日本語の繊細なニュアンスと歴史的背景が深く関係しています。
歴史的な資料や風俗史の記録を紐解くと、この言葉の発祥は江戸時代末期から明治時代初期の関西(主に京都・大阪)の花柳界に遡ります。当時、茶屋の旦那衆が芸妓や舞妓、あるいは店の奉公人に対して心付け(チップ)を手渡す際、「ほんのわずかですが」「これっぽっち(点)の手当ですが」と謙遜して差し出したことが直接のルーツです。
関西弁における「ぽちっと(少しだけ)」という副詞や、帳簿につける小さな「点」を意味する符牒が合わさり、やがて少額の現金を包む専用の小封筒を「点袋(ぽちぶくろ)」と呼ぶ文化が確立しました。単なる事務的な金封ではなく、「大金をひけらかさず、相手に気兼ねさせない」という日本の粋(いき)な美意識が結晶化した呼称と言えます。