この言語現象の背景には、近年のエンターテインメント界における決定的な地殻変動がある。米FXプロダクションが制作し、映像配信サービスのDisney+で世界配信されたドラマ『SHOGUN 将軍』の爆発的なヒットだ。主演およびプロデューサーを務めた真田広之が徹底的にこだわり抜いた「妥協のない本物の日本描写」は、エミー賞をはじめとする国際的な賞レースを席巻し、国内外に強烈なインパクトを残した。
作品内で交わされる重厚な武士の言葉遣いや所作は、長らく忘れ去られかけていた時代劇の美意識を鮮やかに蘇らせた。劇中で武士道精神とともに描かれた抑制の利いた台詞回しは、SNSを通じて若い世代の関心を引きつけ、一種のトレンドとして日常会話へと浸透。その結果、「左様ですか」「然り」といった古風な言葉遣いが、デジタルネイティブの耳に「知的で響きがかっこいいフレーズ」として再定義されることになった。