1990年代半ば、任天堂は次世代機の足音が迫る中で大きな岐路に立たされていた。そこに現れたのが、イギリスの田園地帯に拠点を置く技術集団、レア社である。彼らは当時、目玉飛び出るほど高価だったシリコングラフィックス社(SGI)の超高級ワークステーションを独断で購入し、誰も見たことがないプリレンダリングCGのプロトタイプを構築していた。それが、後に世界中を熱狂させることになるプロジェクトの原点だ。
しかし、プロジェクトの船出は決して平坦ではなかった。膨大なデータをスーパーファミコンのカセット容量へと圧縮する作業は、まさに狂気じみた泥臭い計算の連続だったのだ。ドット絵が主流だった時代に、立体感のある光沢やキャラクターの滑らかなアニメーションを16ビット機で動かす——。この無謀とも言える挑戦を支えたのは、レア社の天才プログラマーたちの徹夜の作業と、任天堂が注ぎ込んだ破格のバックアップだった。