小谷こごみを演じた鰐淵晴子の圧倒的な存在感も、忘れてはならない要素だ。幼少期から天才バイオリニストとして脚光を浴び、映画界のトップ女優として活躍してきた彼女だからこそ表現できた洗練された退廃美と、北国の厳しい風土に見事に調和する哀愁があった。
当時のテレビドラマ業界において、彼女の起用は大きな話題を呼んだ。フジテレビジョンが誇るドラマ制作チームと倉本聰のタッグは、彼女の持つ独特のオーラを最大限に引き出す演出を徹底。セリフの合間に見せる視線の動きや、煙草をくゆらせる仕草ひとつでキャラクターの人生を物語る演技は、今なお後進の俳優たちに多大な影響を与え続けている。