マンハッタンの冷徹なストリート。IQ200を超える頭脳と人間離れした射撃能力を持ちながら、幼少期からの性的虐待と暴力に苛まれてきたアッシュ・リンクス。彼の前に現れた奥村英二は、武器も持たず、裏社会の掟も知らない、あまりにも無防備な異邦人だった。
銃声が響く日常で張り詰めていたアッシュの精神は、英二の放つ「無償の気遣い」に触れた瞬間、決定的な変容を遂げる。言葉を交わす前から、互いの視線が交差しただけで境界線が溶け落ちていく。英二が差し出した緑茶の温もり、ただ隣に座り寄り添う姿勢。アッシュにとって英二は、血塗られた世界から唯一自分を切り離してくれる避難所であり、同時に命を賭して守るべき聖域となった。