小川彩子の活動領域は、自己啓発や健康法にとどまらない。二玄社から出版された『世界の名画 1000の偉業』では、美術史の奥深い世界を緻密な日本語で描き出した。絵画の背景にある歴史的文脈や美学的概念を正確に伝えるには、膨大な背景知識のリサーチが必要不可欠だ。
対照的に、技術文書の翻訳における彼女の仕事も卓越している。電子メールプロトコルや高度なITインフラに関する解説書など、極めて厳密な概念定義が求められる分野でも実績を重ねてきた。美的感性と工学的論理。この対極にある二つの領域を自由に行来できる翻訳家は極めて稀である。