口に入れた瞬間に広がるのは、ローストしたアーモンドやカシューナッツを思わせるクリーミーで香ばしい風味だ。昆虫特有の青臭さや土臭さは、適切な加熱処理を行えば驚くほど感じられない。外皮の適度な歯ごたえと、内部の濃厚なエキスが絶妙なハーモニーを奏でる。
長年にわたり野食・昆虫料理の普及に尽力してきた昆虫料理研究家の内山昭一氏も、セミの幼虫を「昆虫食の中でもトップクラスの美味しさ」と高く評価する。幼虫は成虫と異なり羽や硬い外骨格が未発達なため、舌触りが格段に滑らかだ。植物の樹液を数年間にわたって吸い続けて蓄えられた良質な脂肪分とアミノ酸が、この独特な深いコクを生み出している。