事の発端は2026年4月6日、新型コロナウイルス対策としての「住民税非課税世帯等臨時特別給付金」(1世帯あたり10万円)の振込手続きにおいて発生しました。阿武町役場の担当職員が、対象者463世帯分の振込依頼書を作成する際、リストの最上位に記載されていた田口翔氏(当時24歳)の氏名と口座番号に対し、合計額である4630万円を誤って送金依頼データとして入力・作成してしまったことに起因します。
さらに自治体の旧態依然としたフロッピーディスクによる銀行データ受け渡しや、上長による二重チェック機能の形骸化が重なり、4月8日に全額が田口氏の口座へ誤って一括送金されました。異変に気づいた役場職員が即座に自宅を訪問し返還を求めたものの、田口氏は当初の協力的な姿勢から一転、「もう金は動かした。戻せない。罪は償う」と返還を拒絶。4月8日から19日までのわずか11日間にわたり、スマートフォン端末のデビット決済を計34回連続で使用し、資金を全額カジノ決済口座へ移し替えて口座残高をほぼゼロにしました。
山口県警は2026年5月18日、誤送金であることを知りながら資金を別口座に振り替えて不法な利益を得たとして、電子計算機使用詐欺容疑で田口氏を逮捕。過疎の町で起きた巨額公金の消失事件は、連日全国メディアでトップニュースとして報じられる事態へと発展しました。