重厚なブロンズのボディから蒸気を吹き上げる姿を見ると、「一体どのような構造で動いているのか」と知的好奇心を刺激されます。この時計のルーツと機構には、職人の情熱と現代のテクノロジーが結実した独自のストーリーが存在します。
時計の基本諸元と歴史的データは次の通りです。
- 完成・設置年:1994年(平成6年)6月
- 製作者:レイモンド・サンダース氏(カナダの時計職人)
- サイズ・重量:高さ5.5メートル、幅1メートル、総重量約1.5トン
- 材質:本体はブロンズ(青銅)製
小樽蒸気時計の歴史は、カナダ・バンクーバーの歴史地区「ガスタウン」に設置された世界初の蒸気時計へと繋がります。小樽オルゴール堂の運営元が本館の前にシンボルとなる時計を設置するにあたり、ガスタウンの蒸気時計を制作したサンダース氏に直々に依頼して誕生しました。同氏が手掛けた蒸気時計としては世界で2番目、屋外設置の蒸気時計としては極めて希少な工芸建築です。
気になる小樽蒸気時計の仕組みですが、完全に蒸気力のみで時計の針を動かしているわけではありません。時計内部には電動ファンとコンピュータ制御システムが組み込まれており、正確な時刻の計測と調速を行っています。一方で、本体内部のボイラーで発生させた蒸気圧力を利用し、シリンダーとピストンを押し上げて時計上部に並ぶ5つの真鍮製汽笛を鳴らすという「蒸気仕掛けのアナログな力強さ」と「現代の精密技術」が見事に融合しています。このハイブリッド構造こそが、狂いなく時を告げながら豪快な蒸気パフォーマンスを両立させる秘密です。