共働き世帯が直面する社会的な障壁として「小1の壁」が広く知られていますが、近年現場でより深刻視されているのが「小3の壁」です。その最大の要因は、放課後児童クラブ(公立学童)の利用実態にあります。
文部科学省およびこども家庭庁の施策により、学童の受け入れ対象は名目上小学6年生まで拡大されました。しかし、大都市圏を中心とする待機児童問題の現場では、低学年(小1・小2)の受け入れが最優先され、定員超過を理由に小学3年生への進級タイミングで退所を余儀なくされるケースが依然として後を絶ちません。行政主導の全児童向け放課後居場所事業が併設されている自治体であっても、単なる「見守り」にとどまり、宿題指導や手厚い安全管理が受けられないことへの不安が保護者を襲います。
さらに、子どもの心理的変化も壁を高くします。小学校生活に慣れ、自己主張が強まる小学3年生は「学童で下級生の面倒を見るのが嫌だ」「友達の家で自由に遊びたい」と学童通所を拒否し始めます。取材に応じた都内在住のフルタイム勤務の女性(41)は次のように現場の苦悩を語ります。
「勤務先の時短勤務制度が小3修了で打ち切られるタイミングと重なり、子どもの学童拒否が重なりました。鍵を持たせて留守番をさせようにも、放課後友達と公園に行ったまま帰宅時間を過ぎても連絡が取れず、仕事中に何度も胃が痛む思いをしました。結局、週3日は民間学童や習い事でスケジュールを埋め、月数万円の追加出費を強いられています」
対策として有効なのは、家庭内での「留守番ルール(火気厳禁、来客対応の禁止、帰宅時の見守りGPS通知)」の厳格化と、習い事や自治体の放課後教室を組み合わせた安全ネットの複線化です。放課後の過ごし方を子ども任せにせず、親が関与できる限界をあらかじめ見極めた環境整備が求められます。