世界興行収入13億ドル(約2,000億円)超という歴史的メガヒットを記録した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、長年ゲームを遊んできたコアファンからライト層までを巻き込み、キャラクター解釈に大きなインパクトを与えました。ネット上のSNS、知恵袋、レビューコミュニティで巻き起こった熱狂を検証すると、任天堂とイルミネーションが仕掛けた「キャラクター愛の解像度」が見えてきます。
映画公開時、X(旧Twitter)などで圧倒的なバズを巻き起こしたのが、ジャック・ブラック(日本語版:三宅健太)が熱唱したクッパのラブソング『Peaches』でした。これまでのゲームでは「キノコ王国を侵略する大魔王」としての側面が強調されがちだったクッパですが、映画では「ピーチへの不器用すぎる片思いに身を焦がす一途な男」としてユーモラスかつ哀愁たっぷりに描かれ、全世界で大反響を呼びました。単なる狂気の暴君ではなく、人間臭いエゴと情熱を持った存在として描かれたことが、現代の観客の共感を呼んだ要因です。
さらに、映画オリジナルに近いポジションとして話題をさらったのが、青い星の子「ルミリー」です。『スーパーマリオギャラクシー』のチコをベースにしながら、「死こそが唯一の救済」といったダークで虚無的なセリフを連発するそのギャップは、5ちゃんねるやSNS上で「可愛すぎる鬱キャラ」「今作最大の伏兵」として瞬く間にカルト的人気を獲得しました。
また、ブルックリン時代の元上司としてマリオ兄弟に嫌がらせを仕掛ける「スパイク(旧名:ブラッキー)」の登場は、1985年の『レッキングクルー』を知る往年のファンを歓喜させました。埋もれかけていた過去の脇役を物語の重要なスパイスとして復権させる手法は、任天堂が自社のIPライブラリをいかに大切に管理し、ファンの信頼を勝ち得ているかを雄弁に物語っています。