カシオの時計を語る上で、創業者の樫尾忠雄が切り拓いた技術革新の歴史を外すことはできない。計算機の開発で培った高度なデジタル技術を背景に、カシオ計算機株式会社は1974年、世界初のオートカレンダー搭載デジタルウォッチ「カシオトロン」を発表した。
当時、スイスを中心とした機械式時計が主流だった時計界において、日本の精密機器産業が放ったデジタルクォーツ腕時計の衝撃は凄まじかった。「時間は人間が合わせるものではなく、時計が自ら刻むもの」という思想は、月差わずか数秒という驚異的な精度を日常のものにし、時計を特権階級の宝飾品から万人のための実用ギアへと解放したのだ。