省エネ啓蒙活動の中で最も根深く定着し、かつ多くの誤解を生んでいるのがエアコン設定温度28度の真相です。
かつて環境省が主導したクールビズ運動において「28℃」という数値が一人歩きしましたが、環境省や建築物環境衛生管理基準が定めている本来の定義は「室温を28℃以下に維持すること」であり、「エアコンのリモコン設定を28℃にすること」ではありません。建物の断熱性能や窓からの日射熱、階数によって、リモコンを28℃に設定しても実際の室温が29〜30℃まで上昇してしまう住宅は数多く存在します。
設定温度を無理に28℃にして「暑いから」と風量を弱運転(微風)にする行為は、節約の観点から見ても逆効果です。風量を極端に弱めると、熱交換器に十分な空気が通らず、部屋全体の空気が攪拌されないため、天井付近に熱気が滞留したままエアコンのサーモスタットが誤検知を起こします。結果としてコンプレッサーが非効率な稼働を続け、電力を浪費する原因になります。
節電において最も重要なのは、風量を手動で固定するのではなくエアコン自動運転の電気代の優位性を活かすことです。「自動運転」に設定しておけば、起動直後は最大風量で一気に室温を目標値まで下げ、安定後は自動的に微弱運転と送風を切り替えます。これが機器の熱効率を最大化し、最も無駄な電力を消費しない運用法です。