登山ウェアの基本は「レイヤリング」と呼ばれる3層構造の重ね着システムにあります。運動量の激しい登りでは熱を放出し、風の吹き付ける稜線や停滞時には熱を閉じ込めるという、環境に応じた小まめな衣服調整が求められます。
- ベースレイヤー(肌着):肌から汗を素早く吸い上げて拡散・乾燥させる層。ポリエステルなどの高機能化繊や、吸湿発熱・防臭性に優れたメリノウールが最適。
- ミドルレイヤー(中間着):適度な通気性を保ちながらデッドエア(空気の層)を蓄えて保温する層。フリース、グリッド構造のサーマルウェア、薄手のアクティブインサレーションが該当。
- アウターレイヤー(外着):風、雨、雪を遮断する層。前述の透湿防水レインウェアやハードシェルジャケット。
ここで絶対に避けるべき素材が「綿(コットン)」です。普段着のTシャツやデニムパンツ、軍手などに多用される綿は、水分を含むと乾きにくく、気化熱によって身体の体温を急激に奪い続けます。登山現場において綿製品の着用は、夏場であっても低体温症を招く主因となるため厳禁とされています。