『クレヨンしんちゃん』の初期における爆発的なヒットを支えたのは、制作陣とキャスト陣の奇跡的な化学反応だった。アニメーション制作を担当したシンエイ動画は、大胆なレイアウトとテンポの良いコンテによって、原作の持つ鋭利なギャグをアニメ的快楽へと昇華させた。
そして何より、初代しんのすけ役を務めた声優・矢島晶子の存在感は唯一無二であった。放送開始当初のしんのすけの声は、実は現在記憶されている声よりも少し低く、どこか生意気でリアルな5歳児のニュアンスに近かった。そこから回を重ねるごとに、あの独特の節回しと声調が完成していったのだ。
テレビ朝日系列での金曜夜の放送枠は、瞬く間に高視聴率を獲得。矢島晶子の演じる強烈なキャラクター性と、シンエイ動画のクリエイターたちが繰り出す妥協のない作画演出が相乗効果を生み、テレビアニメ史に燦然と輝く名作を生み出すこととなった。