網走監獄の恐ろしさと人知を超えたドラマを象徴する人物が、昭和の脱獄王として知られる白鳥由栄だ。彼は幾度となく難攻不落とされた刑務所から脱獄を繰り返したことで伝説となった。なかでも網走で起こした脱獄劇は、今なお語り継がれる驚愕のエピソードだ。
白鳥は毎食提供される味噌汁の塩分を利用し、手錠や視察孔の鉄枠を少しずつ腐食させた。長期間にわたる緻密な計算と驚異的な関節外しの技術により、極寒の網走から闇に乗じて姿を消したのだ。展示館の天井近くには、脱出を試みる白鳥の姿を再現した人形が掲げられており、その圧倒的な執念と人間離れした身体能力に、訪れた人々は恐怖と嘆称の入り混じった溜息をもらす。