現行の日本法において、婚姻は法的人間(自然人)同士の合意に基づくものであり、実体のないキャラクターとの間に法的な婚姻関係を成立させることはできない。控除制度や相続権といった法的権利の保障は皆無だ。それでも近藤氏は、自身の意思で式を挙げ、指輪を交わし、夫としての人生を選んだ。
架空のキャラクターに対して永続的な恋愛感情や性的な惹かれを抱く人々は、フィクトセクシュアル(Fictosexual)と呼ばれる。彼らが直面する最大の課題は、法的権利の不在以上に、周囲からの無理解や偏見だ。近藤氏はこの現状を打開すべく、当事者の権利擁護と社会的啓発を目的とした「一般社団法人フィクトセクシュアル協会」の設立に参画した。職場で受ける無理解な言動や差別に対抗し、誰もが自身の愛する対象を尊重される社会を目指す活動は、マイノリティの人権問題としての側面を強めている。